【参加報告】富山市薬剤師会 災害研修会

令和6年7月24日(水) 富山県薬剤師会館 研修室とWEBとのハイブリッドで、下記の講演会を開催しましたので報告いたします。

講演1「避難所となった学校の環境チェックや衛生管理ってどうする?―災害時の各フェーズで薬剤師の活躍を―」 

       富山市学校薬剤師会 副会長 濱田朱美子先生

避難所になることの多い学校での環境、衛生管理等における薬剤師の役割について講演いただいた。

まず、避難所である学校において、校舎(管理棟、教室)は避難所とはされておらず、勝手にどこでも入っていいわけではない。避難所となる体育館には靴底の土埃が空中を舞い衛生上よくないので土足厳禁が鉄則。トイレも上下水道の使用可否を確認できるまでは「使用禁止」の表示をする。正しい状況判断の一声を発するのも薬剤師の役目である。換気の基準となるCO2濃度、エアコン吹き出し口近く、入口ドア近くなどをチェックする風速計、浮遊粉塵の測定など、単に計測するだけではなく記録に残し、運営サイド、行政に伝え、改善の糸口とする。薬剤師としてバラバラな対応にならないために、平時から避難所設置時、学校、行政側とどのように関っていくか準備、訓練していくのも大事である。

講演2「令和6年能登半島地震の総括―災害医療コーディネーターからみた薬剤師による災害時プライマリケア―」

        石川県立中央病院 救急科 救命救急センター長 明星 康裕 先生

 能登半島地震時、運営本部 災害医療コーディネーターとして、どのような流れで指示運営され、能登ならではの問題にどう対処されたかをお話いただき、今後の災害時にもとても参考になる講演であった。

本災害の本質:①甚大な被害のある地域の孤立 ②高齢化率の高い地域の被災

1.患者・入所者・住民の医療提供継続・医療アクセス確保。要緊急医療者の初期診療、搬送。

    道路が崩落し陸路が断絶したが、1月5日までに、緊急医療者72名空路にて搬送。透析患者145名が被災し、4日には全員無事に避難搬送できた。

    在宅酸素も100名前後。 テイジン等と連携し11日にはすべての利用者と確認が取れた。

2.水、食料、暖房環境等の被災地内最低限環境確保と広域避難搬送

8日までにすべての施設に連絡がとれ、18日くらいまでに1616名が広域避難搬送された。

3.継続可能な保険医療福祉体制の確立、機能維持支援

    保健医療福祉調整会議を発足させ、継続的に支援、フォロー。

4.地域の保険医療福祉体制の復旧

    福祉・医療・人口 3つが揃わないと復興できない。現在も人口が戻っておらず復旧ができない状態。継続的なフォローが必要。

この地震の前にR.11石川県庁にて保健医療福祉調整本部を立ち上げDMAT実施訓練、R5.5の能登半島地震での教訓を活かすため、7月と9月に検証会を実施、R.11には自衛隊、消防と災害対策本部連絡員室での訓練を能登町で実施されていました。この訓練が現場でとても役に立ったそうです。災害が少なかった富山も、今回の地震で他人事ではなくなったと思います。普段からの準備、訓練をしっかり行い、今後の災害に備えていきたいと思います。