【報告】腎癌および腎移植の治療、overview 講演会
令和8年1月21日に富山県立中央病院泌尿器科部長、瀬戸親先生により【腎癌および腎移植の治療、overview】という演題でご講演頂きましたので、報告いたします。
【腎癌】
成人悪性腫瘍の2~3%を占め、5年生存率は腎癌だと71%に上る。男女比は3:2で、やや男性が罹患しやすく、喫煙で罹患率は上昇する。基本的に造影CTで診断を行うが、10~20%はMRIや針生検、手術などで確定診断を行う。臨床病期(ステージ)は原発臓器での癌の広がり、所属リンパ節への転移、遠隔臓器への転移を考慮し、決定する。
腎細胞癌のステージ1、2では手術による根治を目指す。癌のサイズによって、小さければロボット、大きければ腹腔鏡下手術や開腹手術を行う。ステージ2、3で所属リンパ節転移のない場合は可能なら手術を行うが、慢性腎臓病などを併発している場合は、術前薬物治療も考慮する。ステージ4であっても切除可能であれば手術を行う。切除不可能であれば組織の一部を生検し、組織型の違いにより、薬物治療を行う。
腎癌の薬物治療は2017年以降、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)とレンビマ(レンバチニブ)、またはオプジーボ(ニボルマブ)とカボメティクス(カボザンチニブ)の2剤併用療法が主流となった。昨今、新薬としてウェリレグ(ベルズチファン)が承認された。
【腎移植】
患者の家族や臓器提供希望者であるドナーから移植患者であるレシピエントにドナー臓器を移植する。臓器を提供するドナーは死体ドナーと生体ドナーに分類され、死体ドナーは脳死下に臓器を摘出する場合と、心停止後に臓器を摘出する場合に分けられる。
死体ドナーからは心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、眼球が移植が可能だが、一方、生体ドナーからは肝臓と腎臓のみ移植が可能である。生体ドナーは生体腎移植の申し込みをしてから、半年以上かけて準備を行い、腎移植術に臨む。ドナーの腎機能が半分になってしまい、将来腎不全に陥る可能性もある。一方、死体ドナーは脳死判定を受けて、速やかに臓器摘出を行う。また、脳死下臓器摘出は、心停止後臓器摘出に比べ、複数の臓器が摘出できる、機能が劣化する前に摘出できる、また、摘出時刻を設定できるといったメリットがあるが、厳密な脳死判定が必要になる。
拒絶反応は抗体による液性拒絶と細胞傷害性T細胞による細胞性拒絶がある。液性拒絶は主に抗HLA抗体が移植臓器に付着することで起きる。ABO血液型適合腎移植は、移植術の2日前から免疫抑制剤の投与を開始するが、ABO不適合またはHLA陽性腎移植の場合は2週間前から抗CD19抗体のリツキサン等を開始し、1週間前から免疫抑制投与を開始する必要がある。
今回の講演では、普段聞くことができない腎癌での手術のお話や、移植のお話を聞くことができて、大変貴重なお時間でした。また、NSAIDsは腎臓にとっては大変脅威であり、安易な服用は控える必要があると思いました。薬局での患者対応でもNSAIDsの服用について特に注意深く対応したいです。

