【参加報告】富山県立中央病院 腎移植薬薬連携会

報告者:フロンティア薬局西長江店 高倉大空先生

この度、2024年7月4日(木)に行われた富山県立中央病院腎移植・薬薬連携研修会に参加しましたので、ご報告いたします。
始めに、アステラス製薬株式会社メディカルアフェアーズ本部メディカルサイエンスリエゾン部の田口様から「免疫抑制剤タクロリムスの使用に関して~薬物相互作用とヒアリハット事例」についてご講演頂きました。

ヒアリハット事例として、グラセプターとプログラフとの取り違えについてご紹介頂きました。皆様ご承知の通り、グラセプターはタクロリムス徐放性製剤であり、プログラフとは製剤的特徴や体内動態が異なります。
そのため、誤投与が起こった際には、十分な血中濃度が維持できず拒絶反応などの原因となる恐れがあります。こういった、誤交付には薬剤師の知識不足が大きな原因となっています。移植を扱ったことのない薬局においては、グラセプターを取り扱ったことのない薬剤師も多いと思います。グラセプターは、後発医薬品が販売されていないこと、タクロリムス製剤には一般名が同じでも製剤的特徴が異なることで製品名が異なる薬剤が存在することを今一度ご確認いただき、取り違え防止に努めていただければ幸いです
続いて、富山県立中央病院認定レシピエント移植コーディネーターの浦野様から「当院でのRTCの関わり」と題しましてご講演頂きました。
浦野様は、RTCとして、移植に関する正しい情報の提供から移植患者の生活指導、精神面のフォローや患者及びそのご家族と医師、薬剤師、栄養士など腎移植にかかわる多職種との橋渡し役など多岐にわたる業務をこなされています。
浦野様から、薬剤師へのお願いとして年に1度程度しか腎移植後外来・RRT(腎代替療法選択)外来に受診できない患者もいるため、服用状況や副作用確認の他に食事内容や体重管理などの生活面のサポートについても再度行ってほしいとご指摘をお受けしました。
また、災害時に備えて、2週間分ほど残薬があることを推奨しているため、過度な残薬調節は控えるようにとご指導をお受けしました。
最後に私から「腎移植患者の適切な服薬支援に向けて」と題して、事例紹介を行わせて頂きました。
今回、近隣薬局様からも症例をご提供いただきまして、症例をもとに富山県立中央病院薬剤部の中谷先生に疑問点を質問させていただきました。普段疑問に思っていることを解消する良い機会となりました。
腎移植の症例数自体はあまり多くはありませんが、腎移植患者が、腎機能を維持していくためには適切な免疫療法を継続して行っていくことが重要になります。しかし、患者一人で適切な服用管理を行うことは容易ではありません。
そのため、薬剤師の服薬支援は重要な意味を持つと思います。服用状況、副作用、併用薬、生活状況などそれぞれの変化に柔軟に対応し、医師や病院薬剤師、RTCなど多職種と連携していくことがより良い医療につながると感じました。
スムーズな連携には、顔の見える関係が重要だと考えます。今回、薬薬連携研修会に参加して、文字通り顔の見える関係性を作れたことは、私個人としても非常に大きな収穫となりました。
今後も自身をもって、患者に接していくためにも積極的に薬薬連携研修会に参加していきたいです。