【参加報告】富山市薬剤師会 「受けて下さい、命を守るガン検診」 ~薬局で救える命があります~

令和6年8月27日(火) 富山県薬剤師会館 研修室とWEBとのハイブリッドで、下記の講演会を開催しましたので報告いたします。

講演1「かかりつけ薬局と連携したがん検診受診勧奨について」 

       富山市保健所地域健康課 健康係 山田 雅実さま

富山市では働き盛り・子育て世代に向けた「がん予防事業」のほか、受診向上に向けた取組みとして、胃がん・乳がん検診の早期割引、集団検診のWeb予約、個別通知による受診勧奨、かかりつけ医からの受診勧奨など行っています。
今回新たに、かかりつけ薬局と連携した、がん検診受診勧奨を行うことになりました。薬局は処方箋を受け取ったら立ち寄る場所であり、対象者の中でも比較的健康が気になっている人たちにアプローチできる場です。「がん検診の予約はお済ですか?」の一声がリマインドになり、受診意欲の向上につながると考えられます。
すでに会員薬局に受診勧奨ポスターとチラシが届いていると思います。ぜひ「黄色の封筒は届いていますか」と声掛けしていただき、住民の健康、死亡率の低下にご協力をお願いいたします。

講演2「乳がんの基礎・検診から治療まで」

       公益財団法人 富山県健康づくり財団 富山健康増進センター
          診療部部長 前田基一先生(前富山県立中央病院 外科部長)

 乳房の構造から乳がんの進展、進行様式、発症部位など説明いただきました。
多くのがんでは恒例になるにつれて発症が増えるのに対し、乳がんでは40歳代から50歳代の活躍世代から急激に発症が増加することが特徴です。

乳がんの症状…しこり、乳房の形や皮膚の変化、乳頭からの分泌物
自分の乳房を意識しながら日常生活を送ること:ブレスト・アウェアネス
<ブレスト・アウェアネスの4原則>
①乳房のセルフチェック
②気を付けなければならない乳房の変化(しこりや血性の分泌物など)を知る
③乳房の変化を自覚したらすぐに医療機関へ行く(検診ではなく即受診)
④40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける

乳がん検診の問題点
・乳がん検診のメリット:乳がん死亡率減少効果の科学的根拠がマンモグラフィ検診にある
・乳がん検診のデメリット:偽陰性、偽陽性、過剰診断(命に影響しないものまでみつけてしまう)、
             被爆(量としては少ないが)
・高濃度乳房(乳房内の乳腺と脂肪の割合が高い場合にがんを見つけにくくなる。
       日本人はこの割合が高い)
・マンモグラフィと超音波検査のどちらが有用か
      →乳がん死亡率減少効果が明らかな検査方法はマンモグラフィだけ
 (超音波検査で小さな浸潤がんがマンモグラフィに比べて見つけやすかったり、
 高濃度乳房のがんを見つけやすいメリットがあるため、マンモグラフィ→超音波検査が有用)

実例や検査方法、病理写真や手術に至るまで多くの写真を提示していただき、非常にわかりやすく教えていただきました。