【報告】令和6年度在宅医療推進訪問薬局支援事業 第1回富山地区在宅アドバンスト研修会
【研修会名】
令和6年度在宅医療推進訪問薬局支援事業富山地区在宅アドバンスト研修会
【寄稿者名】
ハート薬局 天正寺店 古澤 華代
【所属】
富山市薬剤師会在宅医療委員会
【企画背景】
24年度診療報酬改定より、地域支援体制加算要件変更、連携強化加算、DX支援加算等の拡充に伴い、対物から対人へシフトした項目が増える一方、地方では少子高齢化、人口減少が進み、限られた医療資源の中で薬局に求められる役割は大きい。
そのような背景の中、地域包括ケアで薬局が果たす役割として期待されている在宅医療ではあるが、「在宅医療をはじめたいが、何から取り掛かれば良いのか?」、「多職種連携の体制を構築するには、何から実際に始めれば良いのか?」、「現場を動かしたいが、何から着手したら良いのか?」等、現場の薬剤師や経営者の抱える悩みは多岐に渡る。
これら悩みの解決に繋がるスキル、知識を地域薬学ケア専門薬剤師より本研修を通して学び、明日からの臨床現場、実践の場で活用したいと考え、研修会を企画した。
【参加者】
40名
【内容】
富山県薬剤師会在宅リーダー研修~明日から使える一歩進んだ在宅医療へ~
ハザマ薬局 茨木彩都店 薬局事業部 課長 安里 芳人
第一部:現状と展望
第二部:原点回帰
第三部:入退院支援の現状、課題
第四部:変革者への道
【感想】
団塊の世代が75歳以上を迎える2025年を目途に地域包括ケアシステムの構築実現を目指して調剤薬局の在宅参入が進められている。私たち調剤薬局の薬剤師はどこまで出来ていると言えるでしょうか。しっかり参入されている調剤薬局もあると思いますが、私はまだまだであると感じてしまいます。私は在宅参入が進んでいかない理由には2つの大きな問題があると思っています。1つは、外来業務に上乗せされた在宅業務は、単純にマンパワーの不足が生じているという問題。もう1つは、どのように医師や看護師、患者や患者家族、ケアマネージャー等と関わり、薬剤師として役立つことが出来るのかという経験と知識によるスキルの問題です。
今回、マンパワー不足の問題については、ハザマ薬局で行っている「非薬剤師の薬局パートナー化」について紹介がありました。在宅業務による業務増加に対し単純に薬剤師を増やせば良いだろうという考えは、富山県は薬剤師数の少なさワースト3である事実から困難であることも知りました。薬剤師でなくても行える業務については、薬局パートナーに作業分担し、薬剤師はより専門性の高い「処方応需、疑義照会」や調剤されたものの「監査」とポイントを絞り、それにより捻出された時間を在宅患者の対応に使用すると説明がありとても参考となりました。以前から非薬剤師には入力以外でもピッキングなど調剤補佐を行っていただいていましたが、もはや非薬剤師ではなく薬局パートナーという認識で薬局パートナーとしての教育やその人員確保が調剤薬局として必要となってくると感じました。
また、今回の研修では外来患者について、安里先生が実際に提出した服薬情報提供書と、それに対する医師から返書の紹介があり、患者様の困りごとについて薬学的なアセスメントを医師に提示することで、医師は答えてくれ解決できたという事例や入院サマリーを書き患者の普段の生活情報を伝えることで、その患者の退院時に入院中の経過について返書がある事例など薬剤師が薬学的に踏み込めば医療機関は答えてくれるという紹介がなされました。これは、もう1つのどのようにして他職種や患者と関わり薬剤師として役立つことが出来るのかという経験と知識によるスキルの問題につながっていると感じました。薬局薬剤師はただ薬を取り揃えるだけではありません。薬学的に踏み込むには他職種からの患者に関する情報提供が不可欠です。そしてそれをアセスメントする知識と経験も必要となってきます。安里先生が経験されているような医療機関とのやりとりが出来るまでは遠く感じ2025年まであと1年と焦ってしまいますが、他職種と積極的に関わり、自己研鑽し1つずつ経験を積み上げて薬剤師の存在意義を示して行けるよう邁進したいと感じました。