2022年9月29日(木)「慢性咳嗽の診断と治療」の参加報告

今回は富山県薬剤師会館2階研修室およびZOOMにて研修会が開催されました。

研修会では新庄内科クリニック院長である丸山宗治先生に「慢性咳嗽の診断と治療」と題して講演していただきました。

丸山先生からは咳嗽の分類、慢性鎮咳に関わる要因、治療についてお話しがありました。

今なお続くCOVID‑19による咳嗽症状の発現は咳嗽そのものに偏見をもたらしています。非感染者を含め咳嗽症状が発現している患者を身体的のみならず、「周りの人目が気になると」いう精神的苦痛を敏感に感じるようになってきています。これらのことからも咳嗽治療は現状では治療優先度の高い疾患と言えるのではないでしょうか。

まず分類では、咳嗽の持続期間により、3週間未満の急性咳嗽、3週間以上8週間未満の遷延性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽に分類されています。この分類から、いつから咳嗽が発現しているかを記録し期間を把握することの重要性がわかります。

次に慢性咳嗽に関わる要因として、咳喘息、アトピー喘息/咽頭アレルギー、副鼻腔気管症候群(SBS)、胃食道逆流症(GERD)、COPD、慢性気管支炎、ACE阻害薬による咳、感染後咳嗽が挙げられました。慢性咳嗽だからと言って鎮咳薬の治療ではなく、要因に対応する治療の実施が必要であることがわかりました。

最後に、それぞれの要因に対する治療の、日本でのガイドラインに沿ったICS(吸入ステロイド)、LABA(長時間作用型β2刺激薬)、SABA(短時間作用型β2刺激薬)LAMA(長時間作用型抗コリン薬)、LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)、PPIなどを説明していただきました。治療薬を継続していても改善がない場合や悪化が見られる場合は変更を考える必要や追加をすることで、症状が落ち着く場合があります。

「咳」と簡単に判断するだけでなく、他にも問題はないかを医師や薬剤師に相談してみましょう。解決の糸口が見つかるかもしれません。