7月6日市薬研修会「血糖値を下げるだけでない最近の糖尿病治療」参加報告

令和5年7月6日(木)に富山県薬剤師会館研修室、WEBとのハイブリッドにて、富山市薬剤師会 学術講演会が開催されましたので報告します。

富山赤十字病院、糖尿病・内分泌・栄養内科部長の高田裕之先生に「血糖値を下げるだけでない最近の糖尿病治療」と題して①変わりゆく2型糖尿病の治療目標 ②最近のインスリン治療について講演をしていただきました。

①変わりゆく2型糖尿病の治療目標

ここ20年ほどで、無理にHbA1cを下げようとすると、心血管イベントの増加や、低血糖の可能性があるため、質の良いコントロールが必要という考えに変わりました。その後心血管イベントを減らし、腎予後改善効果があるSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が使われるようになったことを学びました。また、ツイミーグは低血糖を起こさない程度にインスリンを分泌し、高齢者でも使える薬であることを学び、最近販売されたチルゼパチド(マンジャロ皮下注)はGIP/GLP-1受容体作動薬で体重減少が顕著で、血圧や脂質にも良いことを知りました。

②最近のインスリン治療について

2つの症例を基にお話しいただきましたが、まず、低血糖で事故を起こしてしまった患者さんにリブレ(CGM:持続血糖測定)を導入したことによりアドヒアランスが向上した例がありました。さらにrtCGM(リアルタイム持続血糖測定器)やTAR、TIR、TBR(CGM使用時の新たな血糖管理指標)について、SAP療法(rtCGMとインスリンポンプを併用し、グルコース値が一定範囲を超えるとアラートで知らせてくれる)、HCL療法(rtCGMとインスリンポンプの併用で基礎インスリンを自動調整)についてメリット、デメリットを交えて説明していただきました。また、認知症でしっかりとインスリンを打てているのか分からない患者さんなどに使えるマリヤ(インスリンペン型注入器用に取り付けるスマートセンサー:インスリン注入ボタンを押したときの日付と時間、設定単位数を記録)についても説明いただきました。

今回の講演で、糖尿病治療薬の特徴や最近はどのような薬が使われているのかを知ることができ、今後様々な講演会に参加してみたいと思いました。

五福薬局実習生 同志社女子大学 薬学部 俣野 亜弥